彼の国(かのくに)は、この世で成仏(じょうぶつ)した後、生まれゆく世界。
何とかして、この実態を具現化し、証明する方法が無いものか長年悩んで来ました。所詮、浅学非才の愚拙の身。高度な理論物理学で予想されている異次元空間などを理解することはできません。また、胚種広布説(はいしゅこうふせつ)などにも興味はありましたが、難度が高く習得することはできません。しかし、このことは真実を追い求める求道者にとっては、天才でもなく秀才でもない愚才・九安が体得できたことで、逆に勇気付けられる要因にもなるでしょう。
「人はどこから来て、どこへ行くのだろうか?」知力を尽くしても、わかりやすく説明することができません。同時に、先人たちの描かれた曼陀羅(まんだら)の世界を確証するには至りません。しかし、前世・現世・後世の三世界をつなぐものは、結局のところ自らの生命しかないのです。だとすれば、生命(真実)によってしか、彼の国と接点を得ることはできないのでしょう。憶念弥陀仏本願、自然即時入必定(おくねんみだぶつほんがん、じねんそくじにゅうひつじょう)と残された言葉は、阿弥陀仏の本当の願いを記憶して念じれば、自然(自体)に即刻に仏力が入り、必ず定まると言う体験です。自らの生命によって彼の国に連結(往生(おうじょう))できれば、他には何もいらないことになります。体一つで成仏できれば、地位も名誉も財産も無関係です。有り難いですね。