自由とは?

世の中の自由は人々の自由、とりわけ「心の自由」に主目的があります。仏教が説く自由は、心の命ずるままに従い動いてくれる「身の自由」が本来の教義です。つまり、心と身を分別できるなら、自らの身は自らの心に対して従順です。死に至る服毒さえも拒絶することはありません。また、自分の意思なら投身自殺/焼身自殺をも拒絶はしないのです。要するに、自らの心にとって自らの身は、完全自由(フリーハンド)を得ているのです。もし、他人が自分に危害を加えるとしたら徹底的に抗戦することはあっても、自分の意思に対して肉体は苦痛を訴えても、拒否したり異議を唱えたりすることはありません。

また、平等の精神は、個々の人間の権利・価値において差異がないと定義されています。人は生まれながらにして平等とはいうものの、その能力には差異もあります。仏教では、これを種子不定(しゅしふじょう)と説かれています。そして、仏教が説く平等とは、「月影のいたらぬ里はなけれども……」と示されているように、阿弥陀仏から届く光明が誰でも無差別に照らされている、ということです。

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