あなたには、今、生きている現状を喜ぶ気持ちがあるでしょうか?
幼稚な問いですが、仏心を開けば、自分の体が生きていれば、そこには安定した自身に対する敬喜心があります。元気なら、なおさらですが、悩めるときも、病気のときも、身を喜び敬う心があるのです。生きていれば、あらゆることに取り組めます。生きていればこそ、病気も治ります。誰もが知ってることなのですが……。
しかし、過去の九安がそうであったように、元気であることは当然のことと受け止め、自分の体に感謝するような気持ちを継続的に維持することはありません。勤務中など、解決困難な問題を抱えたときは、「自分の能力がないから」、「この身がつまらないから」、「生きているからこそ悩む」、「生きているからこそ苦労をする」などと、考えがちです。特に失敗を重ねたり、解決できない状況が続けば、苦悩は増幅します。袋小路に入り、突き詰めれば、自死への道を考えたりします。でも、仏心には、身に無頓着な自分の心を強く敬喜心に振り向ける意思があるのです。この帰命という行動が、一時的に悩みを断ち切り、弱り切った体であっても仏力(パワー・楽)をもたらします。